商品撮影の10大構図法
構図は、「主観をもって被写体をフレーム内におさめる」ことを言います。「静物撮影」の分野は、「物撮り」と言う商品を確実に撮る部門と、「テーブルフォト」という概数の被写体をスタイリングして撮る部門に大きく分かれます。
物撮りは、主題を最もわかりやすく撮影できる日の丸構図が、基本となります。一方、テーブルフォトは「構図を捉えて撮る」のではなく、「構図を作り出して撮る」もので、それか魅力的でもあります。ここでは、そんなテーブルフォトにおける、スタイリングとしての構図デザイン法を紹介します。
分散型構図法
分散型構図法は、イメージフォトによく使われる構図です。この構図でひとつの物を明確に目立たせたい場合は、①主役の面積を大きくする②主役の色がほかの物に対して目立つようにする③主役以外をぼかして目立たなくする、などのテクニックが必要になります。
一点集中型構図法
一点集中型構図法は、日の丸構図のバリエーションととらえることができます。商品や作品など、形をすべて見せたいけれど、イメージフォトのように印象を強く出したくない場合に、使われる構図です。中心部分で、すべての形を入れ込んでしまうのではなく、寄った構図で端を切ってみたり、引いた構図で余白にものを入れつつ、中心部分の主役は完全な形として入れ込んだレノします。主役感を強く出したいけれども、脇役も見せたいときに役に立つ構図と言えます。
三分割法
三分割法はフレームを縦、横それぞれ3分割した線を活かした構図で、よく使われます。このライン上に、主題が乗っているとバランスがいい写真が撮れますが、線でとらえるだけでなく、面を活用することもできます。
さらに、被写体の位置がワンパターンになりがちな人は、三分割法の9つのフレームを利用して、撮り方のバリエーションを増やす練習をすることができます。各フレームの中にひとつだけ物を置いて順番に撮影してみると、苦手な位置を見つけることができるはずですそこのフレーム位置でどうしたらバランスよく見せられるのか、考えてみましょう。
瞬時に構図を決めるべきときに、苦手なピント位置の構図があることは不利ですので、ぜひ、克服しましょう。
くの字構図
くの字構図法は、3点のものがあるときによく使われます。直線的な構図法よりも、曲がった部分があるため、線を長くとらえることができ、遠近感を表現することができます。
画面いっぱいの「くの字」ほど、遠近感を感じさせますが、平凡すぎる印象になってしまうことも。そんなときは、フレームの途中で終点を迎える「くの字」にすると緊張感を強めることができます。また、途中で終点を迎えることによって、余白を生むことができるので、ポストカードなどの撮影後に文字を入れる写真の場合に便利です。
対角線構図法
対角線構図法は、文字通り対角線上に被写体を並べる構図で、遠近感を演出するのが得意としています。被写体の個数の制限がないので、たくさんのアイテムをすっきり見せたいときに重宝します。
逆に、アイテムが2つしかない場合でも、遠近感を感じさせることができるので、便利です。広角レンズを使用したときは、手前側の物が大きく写り、奥側の対角線のものは小さく写るため、より遠近感を強めることができるので、併用するとよいでしょう。
対角線上に並ぶということは、対比を演出するのにも向いているので、主役を明確に、脇役はあくまでも脇役にしたいときに活躍する構図法とも言えます。
日の丸構図法
日の丸構図は、芸術的ではない「ダメな構図の典型」のように言われていますが、そんなことはありません。主役の被写体のすべてを構図の中に入れ込むため、全景を説明するのには非常に向いており、商品や作品の撮影では、必ず使ってほしい構図です。あまりに単純すぎて……という方は、スタイリングで脇役を回りに散りばめて構図をデザインするのがおすすめです。
直線構図法
直線構図法は、活用しやすくよく使われる構図法です。基本的に主題となる1本の直線を活かすことを心がけた方がよいですが、バリエーションをつけて線を描き、自分なりの面白い直線を見つけてみるのもよいでしょう。
また、直線のもつ潔さを活かして、かわいいものや、甘すぎるテイストのアイテムのときに、緊張感を加えることができ仕上がりイメージのバランスをとるときにも役立ちます。斜めの直線の場合は、左上がりと右上がりで得意不得意が出ないよう、どちらも活用できるように練習しましょう。
三角構図法
三角構図法は、フレームの中に三角形を作ってバランスよく見せる構図です。フラワーアレンジや、料理の教室に通ったことのある方は、同じ色のものや、同じ形のものが三角形に配置されていると、バランスよく見えるというスタイリングデザインを習ったことがあるのではないでしょうか。
これは、構図にも同じことが言えます。奇数の物をバランスよく入れた構図というのはリズミカルな印象を受け、逆に偶数のものでハランスをとると、アンバランスな感じがなくなるので、おとなしくまとまります。三角構図法はリスム感のある、アクティブな印象に仕上げたいときに使うと便利な構図です。
S字曲線法
S字曲線法は、曲線の持つやわらかさを活用する構図です。直線の潔さ、曲線のやさしさを使い分けて、同じ被写体でも印象を変えることができます。テーフルフォトをはじめたばかりで構図が思い当たらない方は、ぜひ挑戦してみましょう。
作例では、丸い被写体がメインですが、カルトナージュの細長い箱などを撮影するのにも便利です。直線の印象の強い箱を撮影する場合、直線法ばかりに目がいきがちですが、曲線を取り入れられるスタイリングはないだろうか?と、構図をデザインしてアイテムを考えるという逆計算ができると、テーフルフォトの楽しさは倍増することでしょう。