ソニーのストロボの特徴・機能
ソニーの最新TTL調光は「ADI調光」と呼ばれる。ADlは「Advanced Distancd Integration」の略で、高度な距離情報を加味したものを意味する。従来のプリ発光をともなうTTL調光にレンズの距離エンコーダからの距離情報を加え、被写体の状況を正確につかむように進化している。
ソニーのデジタル一眼レフαシリーズは、2006年発売のα100に始まり、すべての機種がADI調光を搭載している。当初、αシリーズは独自のハニカムパターンの多分割測光センサーでADI調光を行なっていたが、2010年に登場したα55、α33以降の機種では、「トランスルーセントミラー・テクノロジー」が採用され、カメラのCMOSセンサーで測光を行なうようになった。
センサー全面を使い、画面を1200に分割して測光するため、非常に高い精度で測光が可能。これをストロボの調光にも利用し、ADI調光の精度をさらに高めることに成功した。
また、キヤノンやニコンのように、ストロボ光の色温度情報をカメラに伝える機能を持ち、ホワイトバランスも安定したものとなっている。ワイヤレス撮影も高精度な調光システムのおかげで、光量は正確。ただし、光量などはカメラではなくストロボ側でコントロールする必要がある。
ソニーの調光システムの特徴
・定常光の測光値とプリ発光の測光値を比較し、高度なアルゴリズムでメイン発光量を決定。
・撮影用CMOSセンサーを使った1200分割ライブビュー分析測光を採用
・調光補正と露出補正は別々に操作できる。
・ワイヤレス多灯では調光比を設定して光量バランスをコントロールできる。
ADI調光のメカニズム
TTL調光の際、微光量のブリ発光により、被写体の明るさを正確に測光する従来の「P-TTL調光」に、レンズのエンコーダー情報(被写体までの距離)を加味し、画面内に反射率の高いものがあったり、背景が極端に明るかったりする場合でも、適切な調光値が得られるよう進化させたシステム。
また、「トランスルーセントテクノロジー」を採用したデジタル一眼では、ミラーレスカメラと同じように撮影用CMOSセンサーを使い、測光および調光を行なう。最新機種では画面を1200のエリアに分割し、細かな測光情報を元にストロボの発光量と露出の制御をコントロールする。
最上位モデル・HVL-F60Mの操作部
ソニーの外付けストロボの最上位・大光量モデル。発光部が上下左右に自由に動く独自の「クイックシフトバウンス」機能を搭載し、縦位置撮影時にもバウンス角度の自由度が高い。操作部は大型の液晶パネルとボタン類、コントロールホイール(ダイヤル)で構成され、視覚的に整理された液晶表示部と相まって、操作は快適。
ミドルクラス・HVL-F43AMの操作部
上位モデルのHVL-F60Mと同じように発光部の向きを自由に変えられる「クイックシフトバウンス」機能を搭載した実用機。液晶パネルはグラフィック表示が省略されているが、HVL-F60Mに準じ、ボタン配列はほぼ同じ。HVL-F60Mのコントロールホイールの代わりに十字キーが採用されている。
ワイヤレスストロボ撮影の設定
1.ストロボをカメラに取り付ける
外付けストロボのリモート(スレーブ)設定を行う際は、カメラのアクセサリーシューにセットし、両機の電源を入れ、操作する。
2.モードを「ワイヤレス」に設定する
カメラノFn(ファンクション)ボタンを押し、[フラッシュモード]の設定画面を表示させる。ここで、写真の様に[ワイヤレス]を選択する。
3.通信チャンネルをセットする
カメラ[フラッシュモード]が[ワイヤレス]に設定されると、外付けストロボとの間で通信が行なわれ、通信チャンネルが自動的に設定される。その後、ストロボをカメラから取り外す。
4.[RMT]に切り換える
ストロボ背面中央のFn(ファンクション)ボタンを押し、[RMT(リモート)]または[RMT2]に切り換える。
5.ストロボを任意の場所に置く
リモート(スレーブ)モードの外付けストロボを、写りこまないように気を付けながら、任意の位置へ置く。
6.ワイヤレスストロボ撮影を行う