ペンタックスのストロボの特徴・機能
ペンタックスのP‐TTL自動調光は、小光量のブリ(プレ)発光をともなうTTL自動調光。背景の明るさと発光によって得られる主被写体の明るさを元に、光量をコントロールする。
ここで決め手となるのがカメラの測光方式。2008年のK20D、K200Dまでは画面を帽分割する測光センサーを使っていたが、2009年のK‐7から77分割の新型測光センサーに切り替わり、測光精度が高まった。
測光センサーの性能アップは、ストロボの自動調光にもプラスに働き、より高い精度の調光が得られるようになった。ワイヤレス撮影においても、P‐TTL自動調光の精度の高さはそのまま。
スレーブ設定は、カメラのアクセサリーシューにセットして行なうタイプで操作は簡単。発光グループは2グループで実用上もほぼ問題ない。
調光補正はグループごとに設定するのではなく、ライティング全体に対し、一括して補正する仕組み。もちろん、マニュアルで光量を1台1台設定すれば、複雑なライティングも可能。P‐TTLが自動調光を目的としていることを考えれば、ペンタックスの割り切りも間違ってはいないといえる。
プリ発光をともなうTTL調光のメカニズム
デジタルカメラに使われるTTL調光は、本発光の直前にブリ発光を行ない、露出を測り、その測光値に基づいて、ストロボの発光量をコントロールする。このブリ発光は、シャッターボタンを全押ししてから、実際にシャッターが開き始めるまでのシャッタータイムラグの時間を利用して行なわれる。
キャノンの場合、この間隔は0.002秒間だという。このブリ発光は通常、本発光の数分の一という小光量だが、高度な演算を行なうことで正確な露出を得ている。また、発光量が小さいことは、電荷のチャージに負担をかけないメリットもある。さらに多灯シンクロでも、ブリ発光を利用することで、複雑なライティングであっても、正確な調光が可能となっている。
ペンタックスの調光システムの特徴
・定常光の測光値とプリ発光の測光値を比較して発光量を決めるTTL調光。
・距離エンコーダーによる距離情報は調光に使われない。
・スライドスイッチを多用したわかりやすい操作系。
最上位モデル・AF540FGZの操作部
ペンタックの外付けストロボの最上位モデル。ミドルクラスの
AF360FGZと操作はほぼ共通で、モードの切り替えにスライド式レバーを多用し、設定したモードの状態がひと目でわかる。液晶パネルの表示は一般的なもので、調光範囲や調光補正値がグラフで表示され、レイアウトもわかりやすく好感が持てる。
ワイヤレスストロボ撮影の設定
1.ストロボをカメラに取り付ける
ストロボのスレーブ設定を行う際は、カメラのアクセサリーシューにセットして、設定を行う。
2.電源スイッチを[WIRLESS]に合わせる
ストロボの電源スイッチを[WIRLESS(ワイヤレス)]の位置に合わせる。次に[M/C/S]と書かれたワイヤレスモード切り替えボタンを押して、液晶パネルの右上に[SLAVE]の表示を出す。
3.通信チャンネルを選択する
通信チャンネルは、初期設定では「1」になっている。通信チャンネルを切り替える場合は、まず横の[設定切り替えレバー」を下げ、表示パネルにチャンネルの数字を表示させる。次にチャンネルボタンを押し、1~4の任意のチャンネルを設定する。設定が終わったら、[設定切り替えレバー]を上に上げる。
4.カメラの電源を入れてチャンネルを登録
カメラの電源を入れ、シャッターボタンを半押しすると、ストロボで設定したチャンネルがカメラ側に登録される。この作業が済んだら、ストロボをカメラから取り外す。
5.カメラの[ワイヤレスモード]設定を行なう
十字キーの下側(ストロボマーク)を押し、「ストロボモード」の設定画面を表示させる。次に設定項目の中から[ワイヤレスモード]を選び、決定する。
6.カメラの内蔵ストロボの設定をする
カメラの「カスタムメニュー:21」で、「(内蔵ストロボの)ワイヤレス時の発光」を設定する。初期設定では、内蔵ストロボをマスターとして本発光も行なうようになっている。「オフ」を選べば、スレーブストロボを発光させるコントローラー信号は発するが、本発光はキャンセルできる。
7.ワイヤレスストロボ撮影を行う