このサイトは商品撮影のマニュアルを掲載しています。商品撮影に向いている一眼レフの情報や撮影方法・レタッチなどを掲載します。

レタッチに必要な機材と知識とは?

これからレタッチを始めたい、カメラマンとしてのレタッチの知識を得たい。プロアマ問わず、そう考えている人は多いらしくレタッチの指南書がたくさん出版されている。初心者からプロ向けまで選び放題だ。ソフトの使い方や、レタッチのテクニックをていねいに解説しているこれらの本を読めば最低限度の知識は身に付くことだろう。

もちろん本ページでも確実に覚えておきたい機能や知識を紹介しているので、まずは本書を完全に理解することから始めると効果的だ。しかし、大切なのは本をたくさん読んだり、知識を詰め込むことではなく、「写真をたくさん扱う」こと。

実際のレタッチでは、写真によって調整の「さじ加減」は様々で、この加減を覚えることこそ繊細なレタッチの感覚を養うことに他ならないからだ。よく、「本と同じサンプルで練習したい」という声を聞くが、レタッチを覚えるという意味ではあまりお勧めできない。誌面で紹介している方法を、自分の写真で実践することではじめて機能の操作や調整の感覚が身に付くのであり、同じ素材で本に書いてある通りに一語一句トレースしていたのでは、調整に大切な要素を感じ取れずに終わってしまう。

これでは、いつまでたっても、レタッチのテクニックは向上しないだろう。すでになんらかのレタッチ本を読んでいても手応えを得られないのだとしたら、それは本に書いてある通りに覚えようとしてるからかもしれない。とくに、レベルの高い内容になれはなるほど「写真に特化」したテクニックになるので、作例とされる写真以外に応用が利かないこともあり得る。

また、プロが行うデリケートな補正は、本人以外にその感覚(調整する理由や補正の量)が伝わらないことも多く、なぜそのような処理が必要なのか理解できないこともあるかもしれない。意味の分からないレタッチのテクニックを覚えるのはナンセンスで、それなら、基本機能を徹底的に使い込むほうが何倍もましだ。

実際、レタッチに使う機能の数などたかが知れていて、それらを使っていくうちに繊細なテクニックが身に付いていくので焦る必要などない。繊細なテクニックが身に付けば、それは他人が見て難解な処理に思えるようになり、つまりは上級向けのレタッチ本と同じことをしているに他ならないのだ。

これではレタッチ本を否定しているように受け止められるかもしれないけれど、決してそうではなくて、本を読むだけでなく、その内容を「必ず自分の写真で試す」ことが重要だということ。そして、そのテクニックに向いた写真を見つけ出すことも知識の蓄積に役立つのだということを覚えてもらいたい。

あるレタッチのテクニックがあって、それに必要な写真はこういう写真、という検索ができるなら、その逆(写真からテクニックを連想すること)もまた可能になるというわけだ。レタッチが上手になりたいのなら、まずはたくさん写真を扱うこと。レタッチ本を読むときには、自分の写真で試しながら読むこと。それを忘れずにいてもらいたい。

レタッチに使う機材の知識とは?

レタッチに使う機材というとパソコンとプリンターだ。それ以外にも、最近ではキャリブレーションツール(ディスプレイやプリンターの色を測定し補正する機器)などを使うこともあるけれど、これらはすべて「パソコン」で操作している。

つまり、レタッチをするには最低限「パソコン」の知識が必要で、パソコンが扱えない状態ではまともなレタッチなど行えないということでもある。たとえるなら、自転車に乗れないのにオートバイに乗ろうとしているようなものだ。

どの程度のパソコンの知識が必要なのかというと、あれはあるほどよいのは確か。レタッチ作業では、写真を映し出すディスプレイの色や、プリンターの色なども密接に関連してくるので、パソコンでこれらを制御する知識もあるに越したことはない。そして、パソコンに詳しくなれはなるほど、「快適」なレタッチ環境が得られるようになる。

とまあ、理想をいえばきりがないけれど、まずはパソコンの基本操作が一通りできれば問題はないだろう。目安としては、ひとりでパソコンにアプリケーションがインストールできて、ファイルの保存や、コピー&ぺースト、フォルダーの作成など、使っているOS(WindowsやMac OS)が戸惑わずに使えるか、分からなくても使い方が調べられれば安心だ。

レタッチとはジャンルが異なるけれど、ワープロソフトや表計算ソフトが自由に扱えたり、それ以外でも、すでにパソコンを使ってなんらかの作業しているのなら心配する必要はない。

もし、パソコンの操作に不安があるのなら、レタッチの知識と一緒にパソコンの知識も覚えること。レタッチしていると、パソコン的なトラブルに見舞われることもあるので、できればその原因が追究できるようにしておきたい。

レタッチに必要な知識

よほど特殊な環境を望まない限り「レタッチの知識=Photoshopの知識」と考えて構わない。写真を扱う上では、それくらいにPhotoshopは浸透しているし、定番でもある。

もちろん、大切なのはソフトの種類ではなく「写真の出来栄え」なので、Photoshop以外のソフトを使ってもOKだ。フリーウエアのソフトでもPhotoshopと同じことはできるので、それらを駆使してもよいだろう。ただし、マイナーなソフトは情報が少なく、使い方を調べるのも苦労するかもしれないし、ユーザーが少ないということはそれだけバグや不具合、もしかしたら、製作者の勘違いによる設計ミスなどの可能性もあり得るかもしれない。

ソフトは使い慣れるとなかなかほかのソフトに移行することができないので、選ぶときには値段だけでなく、このあたりの事情を考慮することも大切だ。そして、レタッチの根幹となる知識として重要なのが、「レベル補正」「トーンカーブ」「カラーバランス」(Photoshopでの名称)の三機能。

いい換えれば、「本気」でしタッチするなら、これらの機能が搭載されていないソフトは選ばないほうがよい。それほどに重要かつ必須の機能でもある。「レベル補正」「トーンカーブ」「カラーバランス」はソフトによって名称は異なることが多いが、機能の外見や特性は似通っているので、一度覚えてしまえば使いまわせる万能の知識だ。

レタッチ上級者が、RAW現像ソフトやレタッチソフトなど複数のソフトを自在に使いこなせるのも、これら基本の機能をマスターしているからに他ならない。もちろん、はじめから思い通りに使いこなすのは難しので、まずは本ページに一通り目を通して、「レベル補正」や「トーンカーブ」がどのようなものなのかを理解してもらえればと思う。

そして、このふたつを覚えたら、次は「カラーバランス」を覚えて、「レベル補正」「トーンカーブ」「カラーバランス」の関係を把握していこう。これらの機能を会得していくと、最終的には「トーンカーブ」だけで明るさもコントラストも色も処理できることが理解できるだろうし、「トーンカーブ」がレタッチの根幹的な機能であることも分かるはずだ。

そして、「トーンカーブ」はなんでもできるけれど、場合によっては目的に特化した「レベル補正」や「カラーバランス」のほうが扱いやすいこともわかってくることだろう。

デジタルで仕事をするということ

デジタル写真で仕事をしたり、写真のやり取りをする際には、写真の色を補正するだけでなく「データを整える」作業が必要なこともある。たとえは、クライアントに「CMYKのTlFF画像で納品」といわれたら、その通りに納めなけれはならず、そのための知識やソフトも必要だ。

そして、CMYKの写真にするには、通常のレタッチとは異なる方法で作業しなければならないなど、覚えることはたくさんあるかもしれない。しかも、現場のひとたちと話をしていると、知らない用語が次々と飛び出し、気後れしてしまうことだろう。

レタッチ未経験者やデジタルに不慣れなひとたちが恐れているのはまさにこのような事態であり、「知らないことを要求されたら」と不安になっているに違いない。大丈夫。こんなのは些細な問題だ。自分の写真が思い通りにレタッチできれば、そこから先は「なんとなく」知っていればよいだけで、カメラマンの仕事ではないことが多いからだ。

また、仕事先や業界によって求められるスキルは様々なので、中に入ってから覚えていけばよいことでもある。とにかく、閉じた環境(自分のパソコンの中)で自在にレタッチできることが重要で、知らないことを要求されたら、戸惑うのではなくて「知識を得るチャンス」と捉え、先方に確認すればよい。

どうすればよいのか具体的に教えてもらえれば、仕事をしながら知識が得られるというわけだ。そしてこのとき、ほとんどすべての場合 「Photoshop CS/CCシリーズ」の操作方法を伝えられるので、このあたりも「仕事で使うならPhotoshopが必要になるゆえんでもある。私も、いろいろな現場で知らない用語に出会うことがあるけれど、会話の隙をみて確認して、覚えるようにしている。

レタッチ用のパソコンを準備しよう

さて、実際に機材を購入するならなにがよいのか、どんな基準で選べばよいのかを考えてみよう。

まずは、レタッチソフト。これはPhotoshopシリーズが基本。そしてパソコン。安価なノートパソコンは、できれば避けたほうが無難。これらの機種は価格を下げるために、写真を扱ううえで大切な液晶の性能が低い場合があるためだ。

もちろん、CPUやメモリなどのスペックも控えめで、あくまでも二台目のパソコン的な用途に向いた機種といえる。本音をいうと、ディスプレイが自由に選べるデスクトップパソコンが理想。予算に限りがあるのならパソコンショップなどのオリジナルブランドのものでも十分。

私が使っているパソコンの中にも、三万円台で購入したデスクトップパソコンがあるけれど、問題なく写真の編集に使えている。

機材の中でもっとも重要なのが、写真の色を見る「液晶ディスプレイ」だ。これはカメラやレンズと同じくらいに大切なものと考えよう。デジタル写真とひととの接点がディスプレイなので、この部分を重視しないことには話にならない。パソコンの性能は落としても、ディスプレイの性能を落とすなといいたいほどに重要アイテムだ。

ノートパソコンの場合でも、外付けのディスプレイを用意することでよい環境で写真が扱えるようになる。ノートパソコンユーザーは、一考の価値ありだ。ディスプレイの選び方は、上下左右から眺めても色やコントラストの変化が少ない製品がベスト。

現在では「lPS液晶パネル」がその代表格で、写真用液晶ディスプレイ選びのひとつの目安になっている。ちなみに、ディスプレイの性能が低いとレタッチ中に姿勢を変えただけで写真の見え方が変化してしまい、これまでの補正が台無しになってしまう恐れもある。そしてこの点はノートパソコンでは顕著な現象で、ディスプレイの角度を変えながら作業しているようではまともなレタッチなど行えないと考えるべきだ。

また、ディスプレイにはAdobe RGB対応のものがあるが、これは写真の扱い方によって変わってくる。Webなどのディスプレイ向けの写真を扱うのなら必要ないし、高性能なプリンターで作品を作りたいなら対応していたほうがよい。

商業印刷なども、Adobe RGBでのデータを要求される可能性があるので、用意しておくに越したことはないだろう。筆者に関していうなら、ポスターや雑誌の広告、グラビアなどの写真も補正しているけれど、Adobe RGBが必須だったという記憶は今のところない。

Adobe RGBでデータを要求されることもほとんどないし、自分の作品でもAdobe RGBの色域に入る色彩はさほど出てこないので、sRGBディスプレイでも十分という気はしている。ただし、このあたりは写真の種類によっても変わってくるので、一概には決めつけることはできないが。

はっきりいえるのは、安いAdobe RGBディスプレイを買うなら、高性能なsRGBディスプレイを買うべき、ということだ。それと、Windowsとmacintoshの選択に関してだが、これはどちらでも構わない。情報的にはWindowsのほうが有利なのは確かだけれど、パソコンはあくまでも「道具」なので、使いやすいと思ったほうを選べばOKだ。

プリンターを選ぶには?

次は作品をプリントするためのプリンターに関して。これさえあれば安心というなら、色も性能もスタンダードになっているエプソンのK3インク搭載機種だろう。

商業印刷向けの色見本を作るにも、作品をプリントするにも、確実な色でプリントすることができるし、色彩が誇張されないのでディスプレイとプリントの色も合わせやすい。写真展などの作品も、このタイプのプリンターなら安心して出力できる。

また、モノクロプリントに関してもK3インク搭載機種はお勧めだ。濃度の異なる3種類の黒インクを使うことで、階調感の高い仕上がりになる。カラー、モノクロの両方に強いK3インク搭載機種は、予算さえ合えば用意しておきたいプリンターといえる。

それ以外の機種となると、素直な色調(ディスプレイに忠実な色)を望むなら、スタンダードな6色インク(シアン、薄いシアンマゼンタ、薄いマゼンタ、イエロー、ブラック)機が定番といえる。また、ポートレート写真を撮影するプロの中には、あえて染料系の4色インク搭載機を使っている人もいるので、最終的にはお店やショールームで自分の写真を、プリントして決めるとよいだろう。

個性的な色彩を望むなら、オレンジやレッド、グリーンなどのcMY以外のインクを搭載した機種が目安となる。このタイプの機種は、プリンターの特性を考慮してレタッチを施せば、色鮮やかで印象的な色彩が再現できる。ただし、その分使いこなしが難しい場合もあり、よくも悪くも上級者向けの機種といえるかもしれない。

また、染料インクと顔料インクの違いに関してだが、写真展で展示したり、アーカイブしたい作品を作るなら耐久性のある顔料インクがお勧め。顔料インクは色の安定性が早いので、プリントしてすぐに色が確認できるというメリットもある。

対して染料インクのメリットは、光沢感と発色のよさそして透明感で、誰でもきれいに感じる仕上がりにすることができる。要するに、わかりやすい美しさが得られるということ。この特徴を活かせば、たとえばプレゼン用の写真をプリントする場合などに最適だろう。相手に、一見して「きれいな写真」と思わせることができる。

これが顔料インクだと、玄人好みの色彩になりがちなので、写真好き以外には心に響かない可能性もあるのだ。ただし、染料インクは色が安定するまでに時間がかかるので、プリントしてからしばらく待たないと正しい色が判断できないなどのデメリットもある。せっかちなひとは、プリントしてすぐに色を確認したくなるかもしれないけれど、それはNG。プロの中には一日おいて色を確認するひともいるほどで、急ぎの作業の場合には少々面倒かもしれない。

このように、使い方や目的によってプリンターの選び方も変わってくる。おそらく、はじめのうちはなにを選べばよいのかわからないことと思うので、必要がないなら慌てて購入しなくてもよいだろう。プリンターが必要になったときに、その目的に合った機種を選べばよいだけのことだ。

目的別の目安としては、作品をプリントしたり商業印刷にもかかわるのならK3インク搭載機種のようにディスプレイの色が再現しやすい機種を、モノクロや質感にこだわるならグレーインクを搭載した機種を、色彩や発色を重視するなら染料系や特別なインクを搭載している機種となる。そして、本気でプリンターを選ぶなら、できる限り自分の写真をプリントして色を確認すること。それが大切だ。

inserted by FC2 system