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8ビットか16ビットか?

デジタル写真には8ビットや16ビットなどの種類がある。いきなりパソコンの用語、しかも「ビット」などというプログラミングの用語出て申し訳ないが、少しだけお付き合いを。レタッチのためになるかどうかはともかく、覚えておいてそんはないです。ビットとは二進数で表される一桁のこと。

二進数は「0」と「1」しかない世界なので、1ビットとは0と1で表される2通りの状態だ。2ビットとは二進数の二桁のことで、00、01、10、11の4通りのパターンがある。同様に3ビットとは、二進数の三桁のことで、表現できる数は000から111までの8通り。

十進数に変換するなら、2の3乗ということ。そして、標準的なデジタル画像は8ビットで表現されていて、それはつまり、二進数で八桁で表示できる値、00000000から11111111までの数となる。十進数でいうなら、2の8乗=256。

さて、これがレタッチにどうかかわってくるのかというと、あまり関係はない。知っているとよいかも、という程度の知識に過ぎないけれど、少なくとも8ビットの意味と、十進数での値の求め方くらいは覚えておいたほうが役立つかもしれない。本来なら、このようなことは写真には関係ない話なのだが、レタッチはやはりパソコンの世界のことなので、どうしてもパソコン関連の言葉や決まりごとが出てきてしまう。

このあたりはもう、あきらめて素直に覚えるしかない。写真を扱うのに、それ以外のことで労力を割くなんてナンセンスなことだとは私も十分に承知している。でも、それも含めてデジタル写真であり、レタッチということだ。話を戻すと、通常のデジタル写真は8ビットで再現されていて、これは、レッド、グリーン、ブルーの各色がそれぞれ8ビット(256階調)で記録されているという意味。

もっと詳しく説明するなら、デジタル写真を構成する最小単位のピクセルが、レッド、グリーン、ブルーの各色それぞれに8ビット分の情報をもっているということ。なぜ「レッド」「グリーン」「ブルー」なのかというと、カラーの写真を再現するために必要なのがR、G、Bの各色の要素(光の三原色)であり、レッド、グリーン、ブルーの光が混ざり合うことで様々な色を再現しているから。

要するに、8ビット画像とは、レッドの256階調(濃淡)、グリーンの256階調、ブルーの256階調がかけ合わさった数だけ色が再現でき、それがおよそ1677万色というわけだ。このように、デジタル写真の世界では1677万色の写真を「8ピッ卜画像」または「8ビット/チャンネルの画像」と呼び、標準的な画像として扱えるようになっている。

しかしながらややこしいこことにパソコンの設定は「24型ビットカラー」というものがあり、これが後々登場する「16ビット画像」や「32ビット画像」と混同されることが多い。ちなみに型ビットカラーとは、レッドの8ビット、グリーンの8ビット、ブルーの8ビットを足して24ビット分の情報が扱えるという考えだ。

ほかにも「32ビットカラー」というものもあり、24ビットカラーに「不透明度」などの色以外の8ビット分の情報を足したものになっている。再現できる色数は24ビットカラーも32ビットカラーも同じ約1677万色。

なにがいいたいのかというと、これから説明する画像のビット数とパソコンの色数設定の関係を間違わないようにしたいための前準備であり、「32ビット(カラー)」という設定は32ビット画像が表示できるのではなく、RGBがぞれぞれ8ビット+8ビット+8ビット+予備の8ビット」で表示できる能力だということを理解しておいてもらいたい。

256階調の壁を越える

通常のデジタル写真は8ビット画像であることは説明済みだが、デジタル写真の中にはRAW形式のように「オーバー8ビット」で撮影できる写真もある。また、Photoshopシリーズのように16ビットで補正できる環境も整っている。

この「オーバー8ビット」や「旧ビット」がなんなのかというと、通常の8ビット画像(RGB各色が265階調の約1677万色)よりもたくさんのビット数(情報)で再現されている画像ということになる。たとえば旧ビットなら、RGB各色が旧ビットの65536階調で再現されていて、色数でいうと約280兆という途方もない数だ。

現状では16ビット画像が標準的とはいえないし、はっきりいってしまえば280兆色などという色数はひとの目では識別すらできないオーバースペックであることは確かだ。しかしながら、16ビット画像を扱うメリットは決して色数ばかりではない。

色数自体は8ビット画像の1677万色ですら人の目には十分すぎるほどの値なのだが、問題はチャンネルの階調。8ビット画像では、RGBそれぞれが256階調しかない。つまり、256の濃淡でしか再現できないということ。補正をするにあたり、この256という制限は思いのほか厄介で、カラーで見ていると問題ないようでもチャンネルのデータは荒れていた、なんてこともある。

つまり、256の階調では心もとないのだ。「カラーでわからなければよいのでは?」と思うかもしれないけれど、もしかしたらプリントするときにチャンネルの荒れが露わになるかもしれないし、補正の設定を変えたら表立ってしまうかもしれない。いつ爆発するかわからない爆弾のような状態はできるだけ避けたいのが心情だ。

とくに、滑らかに階調が変化している部分(肌や青空など)を補正するときなど、8ビットではチャンネルに階調の崩れが出ていないか気を使いながらの補正になることも少なくない。というわけで、このような不安が払拭できる画像が、「旧ビット画像」というわけだ。8ビット画像では256の範囲の中でやりくりしていた補正が、肥ビット画像になと65536まで広がるのだから、補正に対する許容量が上がるのも理解できるのではないだろうか。

16ビットは素晴らしいのか?

さて画像のビット数に関して理解できたところで、(もちろん、完壁になど理解していなくても構わない)いよいよ本題に入りたいと思う。16ビット画像はすごいのか?誤解を恐れずにいうと、ディスプレイ上で見る限り8ビット画像と違いはない。

それは、ディスプレイで表示できる黒から白までの明暗の幅は決まっているし、多くのディスプレイが8ビットでしか表示できないためだ。つまり、16ビット画像になってデータ量が増えたからといって、黒と白という明暗の両端が決まっている以上、写真に劇的な変化は望めないということ。

16ビット画像のメリットは、あくまでも黒から白までの明暗の分割が8ビット画像よりも細かいということで、8ビット画像では得られない階調の変化が再現できることだ。身近な例でたとえるなら8ビットがーミリ単位で測れる定規だとしたら、16ビットは1/256ミリ単位で測れる定規だということ。

細かな単位まで測れるということは、色に置き換えればデリケートな色の変化が再現できるということでもある。そして、最終的には8ビット画像にするにしても、16ビットで補正していれば8ビットでは再現されない「端数」のデータも適切に処理されるので、より精度の高い補正が可能になる。

このあたりは簡単な計算に置き換えるとわかることで、たとえば8ビットでは「0」「1」「2」のように区別されていた階調が、16ビットでは「1.0」「1.1」「1.2」のように間に段階ができるのだから、小さな誤差といえども繰り返されることで結構な違いになる。

そして、このあたりの精度の差が、8ビット補正ではトーンジャンプが生じる場合でも、16ビット補正では階調が踏ん張ってくれる理由でもある。結論として、16ビットで補正するかどうかは、難しいところだ。経験上16ビットでよかったと明確に判断できた例は多くはないし、データ量が増えてパソコンの処理速度が低下したり、ファイル容量が倍増するためにハードディスクが圧迫されるなどの問題も多い。

16ビット画像では使えない機能が出てくるのもデメリットだろう。このあたりを考慮すると、通常は8ビット補正で、階調が荒れそうな場合には16ビットでやり直すようにするとよいのではないだろうか。ただし、これだけはハッキリしている。幅ビットでラフにレタッチするよりも、8ビットでていねいにレタッチしたほうがよりよい作品になる。

16ビット画像を扱う環境

残念ながら、今のところは16ビットの画像を目の当たりにすることはできないかもしれない。それは、16ビット画像の階調をすべて再現できるディスプレイがないから。高性能ディスプレイの中にはオーバー8ビットで表示できるものも登場してはいるけれど、パソコン側の出力(ビデオカード)やOS、レタッチソフトの対応など、まだまだ面倒なことが多い。

しかも、環境を揃えるとなるとそれなりに費用もかかってしまう。したがって、ほとんどの場合、8ビット出力のパソコンと8ビット入力のディスプレイ(ほぼすべてのパソコンとディスプレイがこのタイプ)を使うことになるのだが、果たしてこの環境で16ビットでの補正は意味があるのか、ないのか……。

私もこの環境で作業している(ほとんどの場合で8ビット編集)けれど、とくに不満は抱いてはいない。トーンジャンプが生じてしまったときなどは、「オーバー8ビットの環境ならもしかしたら…」と思いはしても、環境を整えるための費用対効果を考えると、今のところは現状維持でということになりそうだ。

16ビット画像編集とその環境に否定的なわけではなく、条件が揃えば移行してもよいかな、程度に考えているので間違わないでもらいたい。たとえディスプレイで確認できなくPhtoshopで「データ的」に16ビット編集が行えるのだから、現状はそれで満足だ。

32ビット画像とは?

Photoshop CS/CCシリーズでは、16ビットをさらに上回る「32ビット」画像も扱うことができる。現状では32ビットで撮影できるデジカメは存在しないので、32ビット画像を作らなければならないけれど、スタジオ撮影などにおいては非常に可能性の高い画像といえるのではないだろうか。

32ビット画像とは、明暗の幅がとても広い画像のことで、黒つぶれや白とび部分のデータを含めておくことかできるのが特徴だ。つまり、画面上で白とびしていうに見えても、露出をマイナス補正すとで白とび部分に階調を出すことがでもちろん、黒つぶれ部分も同様だ。感覚的には、1枚の写真の中に露出の異なる写真が含まれているようなものと思えばよいだろう。

32ビット画像は特殊な形式で現状では撮影後に32ビットに統合する作業が必要だったり、色調のコントロールが難しかったりするけれど、撮影後でも階調を気にせず露出がコントロールできるという点では魅力的でもある。RAW形式を含め、通常の写真では白とびや黒つぶれ部分は撮影後に復元することが難しく、レタッチの限界が露わになってしまうこともある。

でも、32ビット画像を元に基本的な露出を再現し、それからレタッチを施すことで、ハイクオリティな作品にできる可能性がある。新しい技術を取り入れて作品性を高めることもレタッチの醍醐味だとすれば、32ビット画像は追求していくと面白いのかもしれない。

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