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階調の再現の再現域を考える

テジタル写真ではフィルムや印画紙などの銀塩写真とは異なり、シャドウとハイライトの階調再現がとても厳しい。「厳しい」とは「ダメ」ということではなく、扱いが難しいということ。

銀塩写真は良くも悪くも「暖昧」であるために、予想に反してハイライトが白とびせずに残ったりすることもあるかもしれないが数値演算で処理されるデジタル写真にはそんな暖昧さなど存在しない。データがわずかでもオーバーすれば、情け容赦なく損失(階調がつぶれる)してしまう。

要するに、変化に対してシビアなのだ。「銀塩(フィルム)写真は味わいがある」などといわれるのも、おそらくアナログ処理の暖昧な要素がもたらす不均一性や、入力(光)に対してリニアに反応できない化学変化による階調感(シャドウやハイライトの粘り)などがあるのだろう。このあたりの違いが、いわゆる「デジタルっぽさ」「味気なさ」を感じさせる要因といえなくもないが、これはデメリットというより、むしろデジタルのメリットと考えるべきだ。

数値と計算で色が決まるデジタル写真だからこそ妥協せずに狙った色が追求できるし、デジタルを駆使することでイメーシどおりに仕上げられるようになる。「味気なさ」も、補正を施す感性次第でどうにでもなる問題だ。意図的に銀塩っぽく調整する必要などなく、レタッチに慣れるにしたがって各人の「癖」が出てくるので、それが作品のもち味、つまりは味わいになるというわけだ。

画一的なデジタルが究極のアナログともいえる「人の感性」で調整されるのだから、味わいが出ないほうが不思議なくらいだ。銀塩とデジタルを比べるのはナンセンスなことだけれど、それぞれの利点、欠点を知ることも大切なので、頭の片隅にでも留めておいてもらいたい。デジタルは「人の手を経ることで作品になる」ということも。デジタルと銀塩の葱蓄が少々続いてしまったが、そんなデジタル写真の礎となっているのが「数値(色に割り当てられた番号)」だ。

当然ながらその値には範囲があり、それが、0から255まで。分かりやすく白黒写真を例にすると、写真は256段階の濃淡(=階調)で再現されているといえる(8ビット画像の場合)。これが多いか少ないかは別として、範囲が限られているのなら、そこからこぼれないようにしなければならない。

「こぼれない」とは、撮影やレタッチで0以下や255以上の値を作らない、つまり無用な黒つぶれや白とびを生じさせないということ。カラー写真は約1677万色が再現できるが、それでも色再現の基礎となるR、G、Bのチャンネル(版)は白黒写真と同じ256階調でできている。つまり、「白黒が3枚重なってカラーになっている」ようなものだ。

このように、デジタル写真は256の数値の中であれこれとやりくりしているのだから、1677万色という途方もない色が再現できたとしても、わずかなミスで写真を台無しにしかねないということが分かってもらえるのではないだろうか?

ちなみに、黒つぶれや白とびが絶対にダメというわけではない。表現方法として、真っ黒や真っ白につぶれた箇所を作り出すこともあるだろう。あくまでも、レタッチとは限られた範囲で調整を施すシビアな作業ということを肝に銘じ、雑な補正は施さないようにすることが大切だ。

ハイライトには余裕をもたせる

前述のとおり、デジタルで再現する色には範囲がある。そしてそれは、フィルムや人の目よりもはるかに狭いといわれている。ということは、目で見るように明るい部分も暗い部分もよく見える(階調感がある)状態に仕上げるのは難しいということでもある。

では、どうするか?写真を補正するとき、ポイントとなる部分の露出や色に着目することと思うが、その際シャドウやハイライトにも気を配るようにしてみよう。人物の補正を例に挙げると、顔ばかりに気をとられていると、仕上げてみたら腕や髪の毛の階調がつぶれていた、なんてこともあるかもしれない。このような失敗を招かないためには、全体の階調の推移を意識すること。

そうすれば、無用な階調のつぶれは最小限にとどめられるようになる。明暗だけでなく、色や鮮やかさの補正でもシャドウやハイライトは変化し、その結果、白とびが生じたり、あるチャンネルだけがつぶれてしまうこともあるだろう。

そのようなときには、階調をつぶしてもよいのかをよく考えてみて、被写体に直接影響がなく作品的にも問題ないと判断したなら階調をつぶしてでも補正を続けるべきだし、つぶれたことでそこに目が行き、気になってしまうようならそれ以上補正しないことだ。補正の強さと階調のつぶれは相反しているので、さじ加減を上手に調整してバランスをとることが大切。

場合によっては、部分的に補正を施して階調を救済する、などの方法を取ってもよいだろう。そしてもうひとつ、デジタルの特性として覚えておきたいのが、ハイライトよりも「シャドウの階調感が得やすい」という点。とくにプリントを考えると、ハイライトはある程度の余裕を持たせることが望ましい。

もちろんこれは「絶対」ではなく、ひとつの考え方に過ぎないので誤解しないように。もう少し詳しく説明すると、プリントのシャドウ(黒)は様々なインクが掛け合わされて再現されるため、わずかな濃度差でも階調があるように感じられるけれど、ハイライト(白)は紙にほんのわずかにインクを吹くだけなので、ザラつきこそ感じらても階調感は得難いということ。

もっとも、この現象はとんだハイライトを救済する裏技にもつながるのだが。ディスプレイで見る場合も同様で、目は明るい色には敏感に反応するため、ハイライトの「アラ」は目立ちやすい。これらの点を考慮するとレタツチする際には「ハイライトのクオリティ」を上げれば作品全体のクオリティも上がるということでもある。

レタッチは階調の奪い合い

デジタル写真は一256階調」で再現されているということが分かったら、今度は「256階調を意識した補正」を考えてみよう。どういうことかというと、256の階調で写真のすべてを再現するのは難しいことを理解して、重要な部分から階調を確保する補正を考えるということだ。

たとえば、ある写真を補正するとき、目に付く中間調を重視して補正を施したとする。階調を豊富に見せたいからといって256階調のうちの200階調を使ってしまったら、シャドウとハイライトに割けるのは残りの記階調、つまりお階調ずつ。これでは、シャドウもハイライトも窮屈な印象(急激に暗く/明るくなるようなイメージ)になってしまうし、できればハイライトに は余裕をもたせたいなどと考えるともう無理。

調整レイヤーなどを使った「部分補正」を行うとこのような状態に陥りやすいので、自然に仕上げたいなら部分補正は多用し過ぎないほうがよいかもしれない。少なくとも、レタッチに慣れるまでは。このように、どこかの階調域を重視すると残りの部分にそのしわ寄せが来ることを理解して、もし犠牲にするならどの階調域なのか(ほとんどの場合、シャドウかハイライトのどちらか)を考えておくようにしよう。

重視する階調域にはある程度のパターンがあって、ハイキーな写真なら「ハイライト」重視で、次に「中間調」、「シャドウ」は犠牲にしてもかまわないし、ヌケを良くしたいなら「中間調」「ハイライト」「シャドウ」の順。ポートレートなら「ハイライト」「中間調」「シャドウ」で、色の濃さを重視するなら「中間調」「シャドウ」「ハイライト」の順になる。

はじめのうちは、仕上がりを予測して詳細にレタッチの設計を立てるのは難しいだろうから、明るい部分と暗い部分のどちらよりの写真なのかで判断するとよいだろう。たとえ中間の明るさでも、ハイライトとシャドウのどちらか印象的に見せたい部分は必ずあるはずなので、それを見つけて重視する階調域を判断すればよい。階調域が決まったら「重視する部分」から補正を始めれば、おのずとイメージした仕上がりになるはず。

階調を重視した補正方法とは

シャドウとハイライトに関しては語るべきことがまだまだたくさんあるけれど、ここで特定の階調域を意識した補正方法を紹介しておこう。使う機能は主にふたつで、Phtoshopでいうなら「レベル補正」と「トーンカーブ」だ。

「トーンカーブ」は「レベル補正」の代用にもなるので「トーンカーブ」だけでもかまわないが、機能の基本的な役割という点と、トーンカーブ未搭載 のPhotoshop Elementsユーザーを意識して別々に考えてみよう。レベル補正とトーンカーブは似たような機能だが、補正の意味合いが違ってくる。

まずは「レベル補正」から説明すると、この機能は中間調の階調を重視する補正に向いていて、たとえは中間調だけで全体の8割の階調域を使いたい、というような補正行える。その代わり、あふれたシャドウハイライトはバッサリと削られてしまう、シャドウやハイライトの階調が不自然圧縮されないため違和感が出にくい。

対して一「トーンカーブ」はというと任意の階調域を圧縮したり豊富にすることで256階調内でやりくりできるというメリットがある。つまり、白とびや黒つぶれを回避しつつ、見せたい部分の階調感が高められるということ。もちろん都合のよいことはかりではなく、どこかの階調域を豊富にすることで他の階調域にそのしわ寄せが現れ、不自然な色調変化をもたらす(部分的にコントラストが弱まるなど)というデメリットもあるので注意しよう。

「トーンカーブ」で階調感を出す方法は頭で考えてもややこしいので、使いながら覚えるようにするとよいだろう。視覚的には、「見せたい部分のコントラストを調整する」ということだ。その見せたい階調域がどの辺りなのかをトーンカーブ上で把握できれば、的確に補正できるようになる。

ハイライトが飛んでいるときの処理は?

レタッチで厄介なのが、ハイライトが真っ白になっている状態いわゆる「白とび」の処理。なぜ白とびが嫌がられるのかというと、プリントすると紙の色になってしまうからという理由が大きいだろう。つまり写真の中にぽっかりと紙の質感が見えているのだから、写真によっては興ざめしてしまう。

基本的に、白とびした部分に階調を復活させることはできない。しかし白とびが気になるときにはハイライトの出力を抑えることで「真っ白に抜ける」状態を改善することは可能だ。とくに、プチを残してプリントする場合(プチと白とびの白が同じ色になる)には有効な手法で、ハイライトを抑えることで白とびにわずかに色(インク)が乗るため、あたかも階調があるように感じてしまうという優れ技だ。

ほかにも、ハイキーな写真に使っても階調感を感じさせることができるようになる。錯覚といってしまえばそれまでだが、あらゆるテクニックが駆使できるデジタル処理だからこそ、作品を最高の状態に仕上げたいものだ。ただし、この技はレタッチの最後に行うこと。途中でハイライトを落としても、レタッチを続けることでハイライトが強まる(白とびしてしまう)可能性が高い。

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