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明暗を調整するということ

明暗を調整する代表的な機能には「レベル補正」と「トーンカーブ」がある。どちらもレタッチソフトでは定番の機能で、Photshopに限らず搭載しているソフトは多い(ソフトにより名称が異なることもある)。他にも、「明るさ・コントラスト」や「露光量」などの機能があり、どれを使うべきなのか迷うことだろう。

使用頻度が高いのはやはり「レベル補正」と「トーンカーブ」で、中でも「トーンカーブ」をメインに使うプロやハイアマチュアは多いようだ。反対に、「スライダー1本」で簡単に補正できるタイプの機能や、「クリック一発」で補正できる自動補正の類に頼るレタッチ熟練者は少ない。理由は簡単で。明暗(露出)の調整はとてもデリケートなため、自由度の高い機能が求められるから。

「トーンカーブ」ならシャドウやハイライトなどのレベル別に補正できるし、「レベル補正」ならシャドウとハイライトを的確に調整しつつ明暗が整えられる。写真の補正においては、施した調整で「何が行われたのか」が把握できることが大切で、ブラックボックス的な自動補正機能ではそれを知る術がない。

結果がよければ問題ないという考えもあるが、補正を重ねるごとに「綻び」簿は広がっていくので、できる限り内容(画質の変化)の把握できる機能を使うほうが安心できる。以上のような理由からも、プリミティブなトーンカーブとレベル補正は多用されているというわけだ。そしてこの両機能は、目指すイメージに従って使い分けることで、より精度の高い補正が可能になる点も覚えておこう。

コントラストの変化に着目する

トーンカーブの使用頻度が高いことは前述のとおりだが、トーンカーブで明暗を調整すると、コントラストも変化するという特性も覚えておくこと。たとえば、トーンカーブで全体(中間調)を明るくする場合を考えてみよう。カーブの形状は中央が持ち上がった状態になる。

ここで思し出してもらいたいのがトーンカーブは右上がり45度の直線よりも角度が急になるとコントラストが強まり、穏やかだと弱まるという点。それを考慮した上でもう一度図を見てみると、中間調より暗い部分ではコントラストが強まり、明るい部分では弱まっていることが分かる。

これは、補正量が大きくなるほど顕著に現れる特性だ。ちなみに、暗く補正する場合にはハイライト側のコントラストが強まり、シャドウ側のコントラストが弱まるので、明暗どちらに補正してもコントラストが強調されたような印象になってしまう。もっとも、明るさと連動してコントラストも変化する特性が悪いわけではない。

むしろ「破たんのない色調」に仕上がるし、「色の濃さを維持」したまま明暗が調整できるなど、便利な特性といえるだろう。問題なのは「意図せず」に変化したコントラストを見逃してしまう点で、この特性を知らずに補正を繰り返してしまうと「あらゆる写真が硬調」な仕上がりになりかねない。

レタッチされた写真にメリハリが強いものが多いのは、少なからずこの特性がかかわっているのではないだろうか。どの写真も似たような仕上がりにしないためには明暗を補正する際には常にコントラストの変化を意識することが大切だ。コントラストを変えたくない場合には、「調整レイヤー」で部分的に補正を弱めるか、トーンカーブの「ポイントを増やして詳細に補正」するか、次に紹介する「レベル補正」の特性を生かした補正を行えばよい。

トーンカーブとレベル補正の使い分け

トーンカーブに比べて、レベル補正はさほど重視されていないような気がする。レタッチの解説本などでも、明暗を補正する場合にはたいていトーンカーブが使われており、レベル補正を積極的に紹介している例は少ないようだ。

本ページでは、トーンカーブとレベル補正の類似性を紹介しているが、実はそれぞれの特性は意外と異なっている(Phtoshopシリーズの場合)点も覚えておきたい。この違いは、レタッチのレベルが上がるほど把握しておくべき項目のひとつともいえるだろう。とくに、明るい方向に補正する際には特性の違いが顕著に現れるので、仕上がりイメージに合わせて適切な機能を選べるようにしておきたい。

トーンカーブに関しては、明るく補正すると「コントラストも強まる」傾向にあるのは前述のとおり。そのため、写真は色濃い仕上がりになる。対してレベル補正で明るくすると、ハイライトの変化を抑えて中間調が明るくなるため、トーンカーブとは対照的に「コントラストが弱まる」傾向にあるのが特徴だ。

これらの特性を考慮して補正するなら、淡い色彩(柔らかなコントラスト)で明るくするなら「レベル補正」色濃い色彩(ハイコントラスト)で明るくするなら「トーンカーブ」ということになる。この選択を誤ると、いつまでたってもイメージした仕上がりにならないので注意しよう。ちなみに、暗く補正する場合には両者の特性には大きな違いは出ない。

ここまでは中級レベルの話。さらに上のレベルになるとトーンカーブだけで補正できるようになる。トーンカーブは、ポイントを増やすと明暗のレベルごとに細かく補正できるようになるため、カーブを綴密に調整すればレベル補正と同様の結果が得られるし、それ以上の補正も可能になる。

ただし、ポイントが増えるほどに階調が崩れる危険も増すため、階調の変化を見極め、画質を荒らさずに補正するテクニックが必要だ。このように突き詰めていくとトーンカーブだけで補正できるようになるのだが、まずは無理をせず「レベル補正との使い分け」を意識し、必要なら併用することでイメージする露出を再現していきたい。

写真的に補正するには

デジタル写真は不思議なもので「デジタルっぽい」というとネガティブな感想に受け取られることが多いようだ。対して「フィルムっぽい」というとなんとなくポジティブな褒め言葉に感じるらしい。

デジタルカメラで撮影した写真を、デジタル処理でレタッチするのだから「生粋のデジタル画像」のはずなのだが、銀塩フィルムのような雰囲気を目指して補正やフィルター処理するひとが多いのも事実。それならフィルムで撮ればと思うけれど、便利なデジタルに慣れてしまった今となってはもはや後戻りはできないのだろう。

フィルム風の色調を再現するのは市販のフィルターなどに任せるとして、ここでは「写真的」な明暗の補正に関して考えてみよう。写真的とは、普段使う写真用語を元にイメージを再現するという意味だ。まず、よく要望に上がるのが「ヌケをよくしたい」というもの。

これには、明暗とシャープネスの両方から迫る方法があるけれど、ここで紹介するのは「明暗」に関するテクニック。ヌケのよいイメージとは、主にクリアでくっきりしている状態を指す。具体的には濁りを感じさせない色彩、つまり中間調からハイライトを明るく補正して透明感を出せばよい。この調整には「トーンカーブ」が適していて、線グラフの右上を重点的にもち上げれはOKだ。

次に紹介するのが「色濃い色彩」にする方法。「深みのある色彩」にする場合も同じテクニックで対応できる。色を濃くするには撮影時のテクニックと同様に露出のマイナス補正、つまり暗めに補正すればよい。注意点としては、写真が薄暗くならないように「色の濃さと暗さのバランス」を見極めること。

意図する濃度に達する前に写真が暗くなるようなら、トーンカーブでシャドウとハイライトを個別に上下すれば、露出と濃度のバランスがとりやすくなる。軽やかな色彩にしたいときには、反対に明るめに補正していく。また特定の色の濃度(たとえば空の青さなど)を調整するには別のテクニックがあり、そちらはまた後に紹介する。

ほかにも、ハイキーやローキー、シャドウやハイライトの階調を出すなど、トーンカーブにはいくつかの「パターン」があり、まずはこれらを元に写真に応じて微調整することからはじめると理解しやすいかもしれない。

質感を高めるレタッチ

明暗の補正では、階調感をなくさないという点も重要になる。いい換えれば、階調感を高めるようにレタッチできれば最高、ということ。階調感を高めるには中間調を適切な明るさにするのが効果的だが、すべての写真が「データ的に適正」な露出に仕上げるわけではないので、目安のひとつとして覚えておけばよいだろう。

では、あらゆる写真において階調感を高めるにはどうすればよいのかというと、ポイントとなるのがもっとも明るい部分と暗い部分の質感だ。たとえば、大部分が適正な露出の写真でも、目立つ範囲で白とびしていたのでは階調感の乏しい写真に感じてしまう。

黒つぶれに関しても同様で、これらを含め、シャドウやルイライトの「際」となる部分に注意して補正することで階調感が高まり、結果として写真の質感を高めることができるようになる。また、明るく補正するほどに色が抜けたような浅い色調になるので、気になるようなら「トーンカーブ」でシャドウを下げてみたり、特定の色が補正できる機能子(Phtooshop CS CCシリーズの「特定色域の選択」など)で色を調整すると効果的だ。

彩度を強めてもよいのだが、明るい状態で彩度を強めると蛍光色系になる恐れがあるので、その点に注意すること。このように、写真を明るくしたり暗くするだけでも連動して様々な調整が必要になるのがレタッチの難しさで、補正する量が大きいほどに関連した諸問題も露わになってくる。

補正前には目立たなかったノイズが現れたり、階調がつぶれたり、トーンジャンプが生じたりと、それはもう大変なくらいに…。もちろん、レタッチの腕前が上がればある程度の問題は処理できるかもしれないが、その手間や画質が劣化する可能性を考慮すると、やはりイメージに合わせて「しっかりと撮影」しておくことが大切だ。

覚えておきたいハイライコントロール

レタッチした写真はパソコン、の画面で見るだけでなく、プリントすることも少なくない。プリントに関してはレタッチ同様に様々なテクニックがあるので割愛するが、プリントを意識したレタッチとして覚えておきたいのが「周辺に白とびを作らない」という点だ。

とくに、四隅の白とびは厳禁。この周辺部分の白とびというのが意外と盲点で、パソコンの画面では気付きにくいことが多い。また、レタッチ中も被写体以外の白とびは許容することが少なくないため、プリントしてはじめて気づくという厄介な問題でもある。

これを回避するには、やはりプリント前によく確認するほかないだろう。または、レタッチの最後に必ず白とびをチェックし、必要に応じて白とび回避の補正をしておくか。どちらにしても、不注意が招くミスなので、完壁な予防策というものは存在しないのが難しいところだ。ハイライトのコントロールに関して、役立つ情報をもうひとつ紹介しよう。

いまひとつ階調感の乏しい写真にも、ハイライトの出力を下げる技は効果的だ。ハイライトを下げることで写真全体の色が濃い方向にシフトする(明るく色の薄い範囲にも色が乗る)ため、「全体的に階調感が増した」ような仕上がりにすることができる。この技は紹介されることが少ないかもしれないが、プリントにおいても階調感を高められる技なので試してみるとよいだろう。

ほかにも、ハイライトの出力を下げるメリットとしては「白とびに階調感が出せる」というものがある。もちろん、疑似的にではあるが。この場合、写真全体のハイライトを下げるだけではなく、トーンカーブを調整してハイライトだけの出力を下げたり、白とび箇所を重点的に部分補正すると効果的。

これは、全体のハイライトを下げることで露出が変化するのを避けるためだ。ハイライトの出力を抑えるという処理は、一見すると階調感を乏しくてしまうように思えるかもしれないが、ハイライトの質感を高めるという点ではメリットの多いテクニックでもある。ただし、使いどころを誤ると薄暗くなったり、ダイナミックレンジ(ラチチュード)が低下したようなねむい色調になるので注意すること。

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