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シャープネス調整について

適量が分かりにくい調整というとシャープ機能もそのひとつではないだろうか。この機能は、使うひとは使うけれど、使わないひとはまったく使わないという、ある意味地味な部類に属している機能のひとつといえる。ただし、地味な機能とはいえ使い方が問われる機能でもあるので調整は慎重に。

シャープ機能はソフトによって一シャープ」や「シャープネス」「アンシャープマスク」などと様々な名称で呼ばれているが、画質を鮮鋭にする機能であることに違いはない。違いがあるとすれば、部分的にシャープにできたり、輪郭に対して効率よくシャープにできたりする程度の差だ。シャープネス機能の仕組みを簡単に説明すると、エッジのコントラストを強めて「鮮鋭」に見えるようにするというもの。

たとえば、輪郭がボケて暖昧な画像に対して「輪郭をふちどる」ように線を描けば形状がハッキリ見えるようになる。これと同じことをシャープ機能は行っていて、線を描く代わりに「輪郭のコントラスト」を強めているのが特徴だ。一見すると、どんな画像もシャープになるためシャープ機能に過度の期待を抱くひともいることだろう。しかし、決して「ピンボケや手ブレを直す」機能ではない点を理解してもらいたい。

ピントが大きく外れた写真では、エッジがにじんだように太くなるだけでシャープになることはない。シャープの使いどころというか、使用の判断を誤る(ピンボケを直すような使い方をする)と作品自体のクオリティが問われかねないので、シャープ機能に頼らずとも鮮鋭に感じる写真が撮れるように撮影テクニックを磨くほうが先決だろう。

シャープ機能を使うときのアドバイスをするなら、「最小の量」で「細いエッジ」に仕上げるということ。シャープ機能の多くが「シャープの強さ」と「エッジの幅」が調整できるようになっていて、強さは「シャープさが分かる最小の設定」に、エッジの幅は「シャープさが分かるもっとも細い状態」になるように調整すれば、明らかな失敗画像にはならないはずだ。

使いどころはヌケのよさ

基本的にシャープ機能はレタツチの最後、プリントの直前に適用する。そして、プリントするサイズによってシャープの強さを変え、自然な鮮鋭感、解像感の得られる状態にする必要がある。つまり「ボケた画像を直す」という使い方は、本来なら避けたい使用法というわけだ。もっとも、これは私の勝手な持論であり、そういう使い方が多いのも事実。だから、絶対にダメとはいわない。

作品のクオリティを考慮して決めればよい。では、レタッチ中にシャープ機能を使うことはないのかというと、そんなことはない。ただし、ピンボケ修正のような使い方はせず、「解像感を高める」ために部分的にシャープにするのが主な目的だ。ピントが合っていてなお画質が甘い状態を鮮鋭にする、といえばよいだろうか。よく使う例としては、パンフォーカスで撮影した風景写真がある。

パンフォーカスで撮るには撮影時に絞りを絞り込む必要があるが、カメラのレンズは小絞りになると解像感の薄れた甘い画質になることが多い。これは「回折」と呼ばれる物理現象で、避けようのない特性だ。このような画質の甘い状態(プレやビンボケではない)を改善するために、細かな質感を出したい部分に対してシャープ機能を適用している。

これにより、クリアでヌケのよさが感じられる仕上がりにできる。ポートレートの場合なら、髪の毛やまつ毛などの繊細な部分に対してシャープを適用することで、キレのある印象に仕上げられるだろう。ただし、手を抜いて全体にシャープを適用してしまうとギラついたような鋭さが出ることがあるので避けたほうが無難。あくまでも「モャモャ感」を払拭するためのアクセントとして使うのがコツだ。

シャープの順序と注意点

シャープの使い方には二種類ある。ひとつは一プリントの解像感」を高める使用法で、これが本来の使い方といえる。画面上では判断できなかった鮮鋭さを出すためにプリントするときに「プリントサイズに合わせて」適用するのがその目的だ。したがってこの場合、レタッチした写真にシャープを実行することはなく、プリントするたびにシャープを適用することになる。

面倒に思えるかもしれないが、プリントの大きさだけでなく、プリント用紙が変われば見え方(シャープ感)も変わるので仕方のないことだ。気の利いたプリントソフトやプリンタードライバーには「シャープ」機能が搭載されていることもあるので、レタッチでシャープにせずにこれらの機能を試してみるのもよいだろう。そしてもうひとつの使い方が写真の解像感自体を高めるための使い方¥これはプリント時に実行するシャープとは異なり、必要な部分だけに適用することが多い。

したがって、周囲(シャープにしない部分)と違和感が出ないように仕上げるのが上手いレタッチといえる。レタッチでシャープにする注意点をもう少し紹介しておくと、ディスプレイでは正しいシャープ感は得にくいということも覚えておくようにしよう。とくに、写真全体を表示しているような場合にはなおさらだ。

一般的にディスプレイの解像度は、刀?%印程度と低いため、写真全体を映している状態ではピクセルが補完(間引かれた状態)されてしまう。分かりやすくいうなら、ZOO万画素のディスプレイで1000万画素の写真を表示したとしても、写真は200万画素分にしか見えないということ。シャープにするときにはこの「補完」がネックになり、適量を見誤ることも少なくない。というよりも、シャープを強くし過ぎてしまうのはディスプレイの補完表示を理解していないから、ともいえるだろう。

画面全体で写真を表示している「ピクセルが補完」された状態では、シャープにした写真のピクセルも間引かれて表示されている趣具体的には縮小表示されているためシャープを強めても効果が目立たなかったり、実際よりもエッジが細く見えるなど、正しいシャープ感が確認できないのも当然。

このような現象を避けるために、シャープにした写真を確認するときには、必ず「ピクセル等倍表示」(100%表示)にすること。写真がかなり拡大されるので適量の判断が難しいかもしれないが、その場合には「印%表示」と「100%表示」を切り替えながら確認してみるといい。そして、シャープにした写真をプリントしてシャープ感を確認し、適量を身につけていくことが大切だ。

ごまかしのシャープはいらない

本来ならシャープ機能は語るべきことがたくさんあり、見せるべき比較画像もたくさん掲載したいのだがページ数の制約もあり、そうもいってはいられない。そこで、シャープ機能を極めたい場合に役立つアイデアを紹介しておこう。

必要なのは、普段作品のプリントに使っているプリント用紙で、サイズも同じものを用意。そして、エッジが分かりやすい適当な写真(ピントが合っているもの)を選び、「シャープなし」「強めのシャープ」「中くらいのシャープ」「弱めのシャープ」にレタッチした写真をそれぞれプリントしておこう。それぞれのプリントにシャープの設定を書き込んでおけば、以後、どの程度のシャープが必要なのかの判断基準になる。

テストプリントよりも小さなプリントを作る場合には、たとえば半分のサイズにるならシャープの量は半分でもかまわないし、大きくする場合には気持ち強めに調整すると効果的な場合が多い。|般的にはあまりテストプリントを作るという習慣はないかもしれないが、一度作っておけば何かと役立つのでお勧めだ。

そして、いくつかの写真でテストプリントを繰り返すと「ボケ」や「プレ」をごまかすためのシャープに意味がないことが理解できるはず。このような撮影のミスをレタッチで挽回しようとしても、結局はそれなりの仕上がりにしかならないということ。レタッチは失敗を救済するテク||ツクではなく、よい写真をよりよく見せるための演出であり、レタッチでよい作品に仕上げるには素材がよいことが大前提だ。

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