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プリントについて

プリンターにかんしては大に触れているけれど、プリンターはひとによって必要だったりいらなかったりと様々。タブレットやスマートフォンなどパソコン以外で写真を見る環境が整ってきた今、ブリンターを必要としないカメラマンもいるのかもしれない。しかしながら、もし「プリンターがほしい」と思ったならその目的をよく考えること。プリントした写真をどのように扱うのかで、選ぶプリンターも異なってくるためだ。

たとえば、単に写真がプリントしたいだけならどんなプリンターでもかまわないし写真展用の自家プリントやポートフォリオとして保存しておくプリントなら耐久性のあるインクを使っている機種が望ましい。商業印刷などの見本としても使いたいなら、それこそ選択を誤ると役立たないこともあるくらいだ。もっとも、プリンターも年々進化しているため目的別に商品名を挙げることは難しいのだが、大まかな目安としては、「きれいなプリント」として誰かに見せたいときには「6色染料インク」を使った機種を、保存したり展示するプリントなら耐久性の高い「顔料インク」を使った機種を選ぶとよい。

ちなみに、6色インクの6色とは、「シアン、薄いシアン、マゼンタ、薄いマゼンタ、イエロー、ブラック」のこと。薄いシアンと薄いマゼンタが含まれているのがポイントで、これにより色の変化が滑らかに再現できるようになる。「染料」と「顔料インク」の特性についてもまとめておこう。少しだけ高度な内容も交えて。プリンターのインクは、大きく分けて「染料系」と「顔料系」があるのはすでに紹介したとおり。色の特性は、「染料系」は光沢感のある高発色、「顔料系」は光沢が抑えられた深みのある色彩、といわれている。

これらの違いはインク(色材)の状態が要因となっていて、色材が水に溶ばている染料インクはプリントすると紙に沈み込み光沢紙の滑らかな表面をそのまま生かしたプリントになる。顔料インクの場合は、色材が粒で存在しているため、インクが紙の表面にとどまり光沢紙の反射を乱してしまう。インクが紙の表面に乗ることによって染料インクのような透明感や光沢感が得られない代わりに、インクの色がダイレクトに感じられるという点が特徴だ。

つまり、深みのある仕上がりが得意ということ。このように、インクによってプリントの特性が変化するということは、プリンター選びとはつまり「インク選び」であるといい換えてもよいだろう。プリンター選びというと、雑誌のプリンター紹介などの作例を見て良し悪しを語るひとがいるけれど、雑誌に掲載されているプリントの見本は「印刷の色」であってプリントの本来の色」は見えていない点を忘れてはいけない。プリンターを選ぶときには、必ず自分の目で色を見極めないと後々後悔することになりかねないので、忘れないようにしよう。

プリント作品は紙選びから

写真のプリントは光沢紙書当たり前のように浸透している組み合わせだが、果たしてそうだろうか?そう疑問に感じた写真家が「マット紙」で作品を作ったり、「画材紙」にプリントしたりして、いわゆる「ファインアート」の世界に足を踏み入れていくのだろう。もちろん、光沢紙には光沢紙のよさがある。

文字通りに光沢感(ツヤ)のある仕上がりになるし、解像感も階調感も発色も高く、まさに「写真をきれいに見せる」ためには必要なプリント用紙のひとつだ。そして、光沢紙の中にもいろいろな特性をもったものがあって、プリンターメーカー純正の用紙なら素材(データ)のもつ正しい色でプリントできるし、サードパーティー製ならメーカーの個性を生かした色調が得られる場合もある。

プリント用紙を変えるということは、写真の色調をコントロールすることでもあるわけだ。昔懐かしいフィルムの時代には、再現したいコントラストによって印画紙を使い分けていたけれど、似たようなことがプリント用紙でもできると考えると紙選びも楽しくなるのではないだろうか。このように、光沢紙の中でも微妙な色調の違いが出るのだから、これがマット紙や画材紙(和紙やコットンペーパーなど)となるとなおさらで、写真本来の色などお構いなしに個性的な色彩を発揮してくれる用紙もあるほど。

個性があるということは、それだけ好き嫌いがはっきりするということでもあり、誤った用紙の選択は作品つくりにも大きく影響してしまうので要注意!では目的の用紙を見付備るにはどうすればよいのかというと、これはもうプリントを繰り返すほかない。とくに、プリントをはじめたばかりの頃は「何がよい」のかわからない状態でもあるので、メーカー純正紙を使ってみることをお勧めする。

用紙を選ぶ際にひとつの基準にしてもらいたいのが「紙の白さ」で、白い紙ほど透明感が高くコントラストのある仕上がりになると覚えておくとよいだろう。プリンターには「白インク」がないため白はそのまま紙の色になってしまう。ということは、紙の色がより白ければ「インクの黒から紙の白」までの差が大きくなり、必然的にコントラストも強まるというわけだ。

そして、作風を決める要素のひとつとなるのが表面のテクスチャ、つまり凹凸感。光沢紙の場合なら光沢感といってもよい。中でも、非光沢系の用紙ではテクスチャはとても重要で、わずかなテクスチャの違いでプリント作品の雰囲気が一転するほど。たとえば、キャンバス地の用紙にプリントすると絵画のような印象になるし、ラフな凹凸のある用紙ならイラストのような仕上がりが期待できる。生成りの紙色で繊維の混じった用紙なら、日本画のような柔らかな雰囲気に仕上げられるかもしれない。

どれがよいかは好みと目的次第だが、まずは「写真」として見せることが大切なので、最初はテクスチャの強い用紙は避けたほうが無難だろう。私も個性的な用紙へのプリントは好きだが、はじめに使った紙は滑らかな質感のプリンター用の画材紙で、そこからいろいろと触手を伸ばしていった経緯がある。そしてもうひとつ、はじめての用紙を使う際に重要なのが「データを記録」するという作業。写真でもカラーチャートでも独自のパッチでも何でもよいので、毎回同じ設定で同じデータをプリントして保存しておくようにしよう。

テストプリントを作るときには「黒」と「RGBの値がそれぞれ128の中間色」も含めておき、他の用紙と黒の濃度が比較できるようにしておくとより正確なデータになる。黒を印刷しておく理由は、インクの黒という「もっとも暗い色」が分かれば、紙の白さと合わせて潜在的なコントラストの再現幅が把握できるため》つま砿白くて黒がより暗い紙ほど高コントラストな仕上がりになるということ。

テストプリントを作っておけば用紙ごとの特性が一目で把握できるだけでなく、何よりも色調の印象が記憶に残るので、好みの用紙を探す手助けにもなる。面倒でもったいない作業に思えるかもしれないけれど、これをやらないといつまでたっても用紙の特性を生かしたプリントが作れない大切な作業だ。このようにブじン卜用紙ひとつとってもこれだけ考えることがあるのだから、「作品」をプリントするということがいかに奥の深い作業なのか分かってもらえたのではないだろうか。

プリントのクオリティについて

作品のプリントで気を付けておきたいのが色調と品質だ。多くの場合、色調は意識しても品質には気が回らないこともあるようなので注意しよう。L版で大量にプリントする場合には一枚ずつの品質など気にしてはいられないし、画面が小さいので粗が目立たないことも多いが、保存版の作品プリントとなるとそうもいってはいられない。何せ、万が一にも写真のデータが失われてしまった場合、手元に残る「唯一の作品」になるのだから完壁な状態で仕上げておきたいところだ。

プリントの品質でもっとも注意しなければならないのが、「トーンジャンプ」と呼ばれる縞模様。トーンジャンプは、澄み渡った青空のような「滑らかに階調が変移」している部分に対してラフなレタッチを施すと生じやすい。厄介なのは、ディスプレイでは確認できなくてもプリントすると生じることもある点で、最後まで油断できない現象でもある。

もしプリントでトーンジャンプを見つけたら、レタッチの段階に戻って補正をやり直すのが鉄則。トーンジャンプを後からレタッチで修正するのは困難なので、撮影の段階で生じていたのなら、残念ながらその作品は諦めたほうがよいかもしれない。トーンジャンプだけでなく、ブロック状に色調が変化しているような部分も可能な限り避けたい。

これはJPEGで保存を繰り返したり、高圧縮で保存した写真に生じやすい現象で、デジタル的なノイズの一種と考えるとよいだろう。カメラを低解像度や低画質の設定で撮影してもこのようなノイズが生じるので、作品を意識するならカメラは一もつとも撮影枚数の少ない設定」にしておくと安心だ。それともうひとつ、ありがちな失敗が「強過ぎるシャープ」。写真をシャープにする処理ついては誤解が多いので簡単に説明しておくと、決して「ピントを調整」する機能ではないということ。

エッジのコントラストを強めて輪郭を目立たせるだけなので、シャープの強いプリントはエッジが太くなり、返って繊細さが失せてしまう可能性もある。レタッチの途中でシャープを適用することは画質を荒らすだけなので避けたいが、プリント時のシャープも強さに注意しないと逆効果になる点も覚えておきたい。また、パソコンの画面とプリントの色は完壁には合わせることができないため、画面通りにプリントするよりも、「プリント用紙の特性を生かした仕上げ」を意識すると作品が作りやすいかもしれない。

自家プリント、とくに一点ものの作品の場合、ディスプレイの色と比較してプリントを見ることなどほとんどないため、無理に画面に合わせて色を詰めていくよりも、プリンターやインク、用紙のもつ本来の色域を活かすほうが作品性は高まることだろう。とくに、画材紙やファインアート系の用紙を使うならなおさらで、画面の色はプレビュー程度に考え、プリントで色を追い込んでいく作業やテクニックも必要だ。

ただし、このあたりはプリンターやプリントソフトによって手法は異なるので、各自研究してもらいたい件でもある。とにかく、作品としてのプリントを作るなら「滑らかな階調の変化」「デジタルに起因するノイズの払拭」、そして「プリン卜用紙の特性を生かした色調」を意識してもらえればと思う。

モノクロプリントは難しい

カラーのプリントに比べモノクロ写真のプリントはとても難しい。モノクロ写真を作り出すレタッチテクニックはもちろんだが、プリンターの性能(インクの特性)が如実に表れ、思うような階調感やトーンが得られないためだ。その最たる原因が「色ころび」で、色のないモノクロの場合はカラーのプリントよりもこれが目立ってしまう。

画面上では黒と白に見える写真でも、プリントすると部分的に色づいて見えることも珍しくないほどだ。しかも、場所により色が異なることもあるなど、本当に厄介な問題でもある。これを解決するには「黒インク」だけでプリントするのがもっとも簡単なのだが、すると今度は、薄い色の階調感が失せ、ハイライトの滑らかさが再現できない可能性も生じてしまう。一般的には、黒インクだけでプリントすると階調の変化が乏しくなるため、立体感の失せた硬い印象になりがちだ。

データ的に黒の256階調(濃淡)になるので、粗く見えるのは当然といえば当然だが。もちろん、それを狙ってのプリントを作るのなら問題ない。モノクロプリントのテクニックのひとつとして覚えておくと、いつか役立つかもしれない。このようにモノクロプリントを作る場合プリンターの設定を「カラー」にするか「黒(グレースケール)にするかで悩むことと思うが、黒インクだけだと粗い仕上がりになりがちなので「カラー」に設定するのが一般的。

それにたとえ黒インクだけでプリントしたとしても、「インクの黒は完全な黒」とは限らないため、思い通りの調子に仕上がらない可能性もある。意外に思えるかもしれないが、プリンターの黒インクは機種によって微妙に色が異なっていて、文字のような小さな範囲なら違いが分からくても写真のプリントとなるとその差が出てくる。この点からも、写真をプリントする用途としては考えられていないのはよくわかるはず。

要するに、わずかな色ころびも気になるモノクロプリントは、プリントするテクニックだけでなく「プリンターの性能」も重要というわけだ。結論をいってしまえば、本格的にモノクロ作品をプリントするなら「モノクロに強いプリンター」を用意するのが正攻法。モノクロに強いとは、具体的には「複数の濃度の黒インク」を搭載している機種を指す。エプソンやキャノンの上位機種には、光沢紙用の黒、マット紙用の黒、濃いグレー、明るいグレーなど複数の濃度の黒インクを搭載したものがあり、モノクロプリントの階調感を高めたり色ころびを抑える工夫がなされている。

このようなプリンターなら、冷黒調や純黒調や温黒調のモノクロプリントも、セピア調などのモノトーンプリントも思いのまま。確かに、レタッチのような複雑な作業においては気合とテクニックでカバーする根性論もときには必要かもしれないが、機材(ソフトやハード)が要求を満たしていないとイメージが再現できないことも少なくない。よい道具と、それを使いこなす腕があってこそ生み出せる作品もあるということ。

ちなみに、濃度の異なる黒インクはカラープリントでも威力を発揮し、ハイライトからシャドウまで色崩れの少ないしっかりとした色調が再現できる。ある意味、もっとも写真に向いたインク構成といえるのかもしれない。

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