同じフルサイズ機でも画素数に差があるのはなぜ?
現在フルサイズ機を製造しているカメラメーカーはキャノンとニコンの2社です。キヤノンが最初にフルサイズ機を世に送り出したのは2002年11月で、有効画素数1110万画素のEOS-lDsでした。キヤノンは次いで1670万画素のEOS-lDsMarkⅡを、そして2007年11月に2110万画素のEOS-lDsMarkⅢを発売。
この間、2005年の9月には価格を抑えた1280万画素のEOS5Dも登場させました。他方ニコンはというと、とうとう2007年11月、FXフォーマットと名づけたフルサイズ機D3を発売しました。さて、ほぼ同時に発売となった2つのフルサイズ機ですが、決定的な違いが見えました。それは画素数す。EOS-lDsMarkⅢの2110万画素に対して、D3は1210万画素。
この約900万画素という数字は、妙な言い方をすれば1000万画素クラスの中級機1台分の差に相当します。答えのヒントはキヤノンのラインアップに隠れています。キヤノンのフラッグシップ機がEOS-lDsMarkⅢとEOS-IDMarkⅢの2機種あることはご承知だと思いますが、前者は2110万画素で最高の解像力が、後者は1010万画素で最高の連写速度が使命として与えられています。
これと同様の関係が、EOS-lDsMarkⅢとD3の間に見えるのです。EOS-lDsMarkmは35ミリ判一眼レフとしては世界最高の解像力で、対してD3には毎秒9コマの連写能力があります。またD3は、画素数を抑えたことによって画素サイズを大きくとることができました。
それゆえ常用でISO6400、拡張設定でISO25600相当という超高感度撮影をも可能としているのです。こうして見てくると画素数の差は、カメラボデイに与えられた方向性の違いと考えればいいということがわかります。多画素を追求するタイプは解像力を高める方向で、画素数を抑制するタイプは連写速度や常用感度、およびダイナミックレンジの拡大を狙う方向ということです。