ベース感度の画質が最もよいの?
まず「ベース感度」という単語について解説しておきましょう。これはそのカメラの性能が最も高いレベルで発揮される感度を指したものと考えればいいと思います。通常は、カメラが持つ常用感度のうち最も低い感度がそれにあたります。EOS40DならISO100、ニコンD300ならISO200という具合です。
このことは、フィルム経験者なら理解が早いと思います。フィルムは感度が低いほど、ざらつき感を示すRMS粒状度という数値が小さくなる傾向にあり、それだけ高画質と言われるからです。ただ一部のカメラでは感度拡張機能によって減感が行えて、ベース感度より低いISO感度が使えるケースもあります。
キヤノンではEOS-lDsMarkⅢ、EOS-IDMarkⅢ、E0S5Dの3機種が感度拡張によってISO50が使えます。またニコンではD3、D300の2機種が減感によってISO100が使えるようになります。そこで疑問が生じてきます。これらのカメラは、フィルムのように、低感度で使ったほうが画質が良いのでしょうか。それともベース感度が良いのでしょうか。そこで実写をしてみました。画像を見ると、特に顕著なのはダイナミックレンジで、それはハイライト側でよくわかります。
まずはキヤノンのEOS-lDsMarkⅢで撮影したお地蔵様の写真を見てください。注目してほしいのは、後頭部の光が強く当たっているあたりです。拡張感圃SO50で撮影したカットはだいぶ白飛びが見られ、質感が失われていますが、常用感度のISO100、200のものはほぼ白飛びは見られず石の質感を保っています。次にニコンのD300で撮影した瓦屋根とイチョウ。こちらも同様の結果です。減感したISO100のカットは画面中央の瓦が白飛びを起こしていますが、常用感度内のISO200、400のカットはいずれも白飛びはありません。
ノイズについても、ISO100と200は差があるとは言えないようです。この結果を踏まえると、やはりベース感度が最もパフォーマンスは高いようです。シャッタースピードを遅くするために最低感度を使いたいといったような場合でも、白飛びを嫌うならば、感度はベースのままNDフィルターを使って減光するといった手段をとったほう が無難と言えそうです。