ファインダー100%を実現するのはなぜ難しい?
当たり前のことを言うようですが「ファインダー視野率100%」というとは、視野率が99.9%や100.1%ではだめなのです。ぴったり100%でなくてはなりません。ファインダー画面で見たまま、そのままが寸分違わず写ることです。0.1%大きくても小さくてもでもダメなのです。たとえば「視野率95%」ということになれば、工業製品の既定誤差範囲内であれば(仮にの話ですが「95.5%」でも「94.5%」でも許されます。
そこが「100%」と、それ以外との違いであり、もっとも重要な点です。100%には上下誤差の許される範囲がまったくない、と考えてもいいでしょう。とはいえ、完壁に寸分の誤差もない「完全100%」に仕上げることは不可能です。温度変化によるごくごくわずかな誤差が発生することもあります。ですから、機種によってはカタログなどには「約100%」と明記してあります。
でもこれは、限りなく100%に仕上げているけれど、不可避な状況によってはごくわずかに100%でなくなる場合もあります、という意味に解釈すればいいでしょう。なぜ、こんな当たり前のことをくどくど述べたかというと、いま述べたような高い精度が要求されるのですが、視野率100%に仕上げるにはさまざまな部分を調整しなければなりませんし、さらには使用する部品の精度そのものも正確でなければなりません。
撮像素子をカメラボデイに組み付けるときの位置合わせ、これが難しい。レンズを通った光の像がメインミラーからファインダー光学系に導かれて、それをファインダースクリーン上の画像として見ているわけです。ファインダー光学系にも、ファインダースクリーンにも、ごくわずかなズレがあっても100%にはなりません。さらに、実際に露光されるときはメインミラーがアップして撮像素子面に像が投影されて、それが画像となって記録されます。
つまり、実際的には光学系が違うのですが、その2つの光学系がぴったりと100%合致していないと「視野率100%」にはなりえないのです。純粋に光学的精度と組み立て精度が要求されるもので、あとでソフト的に"つじつま合わせ"ができるというものではないのです。とにかく、タイヘンに難易度が高いのです。