ボケと絞り羽根の関係を教えて
絞りの大きさは絞り羽根によって調整されていること、そして絞りを開ければボケは大きく、絞り込めばボケは小さくなるということはご理解いただけたと思います。しかしこの絞り羽根、実はボケの大きさだけでなく、ボケの形にも大きく関係しているのです。レンズに組み込まれている絞り羽根は、何枚かの金属板を重ね合わせて中心部分に穴を作り出す構造になっています。
そして、光が通過するこの穴の形状は絞り羽根の枚数によって変化し、たとえば絞り羽根が6枚であれば正6角形、7枚であれば正7角形の穴ができます。絞りの形によってピント部の描写が変わることはありませんが、ボケの形は大きく影響を受け、たとえば点光源を背景に入れてぼかしたとき、そのボケは絞りの形そのままに描写されます。
多角形絞りを採用したレンズであっても、開放絞りで撮影した場合は絞り羽根の形に影響されず、きれいな円形のボケが得られます。ただし、より良い画質を得ようとしてちょっと絞り込んだりすると、このように絞りの形状がボケに表れてしまうのです。こういったボケの形状をより美しく見せるために、昨今では円形絞りを採用したレンズが多く見られるようになりました。
円形絞りを採用したレンズでは、開放からl~2段程度絞っても絞り形状が円形に保たれるのが特徴です。とはいえ、円形絞りもけっして万能ではなく、開放から4段、5段と絞っていくと絞りの形はやがて多角形になっていきます。またボケの形状が丸くはなっても、ボケの柔らかさや滑らかさといったものには影響しません。基本的なボケ味の良し悪しは、あくまでもレンズの光学設計によって大きく左右されるものなのです。
多角形絞りと円形絞りの構造 図を入れる