撮影の時必ず行うべき事、RAWでリカバリーがきく事
RAWの特性を理解すれば、撮影の時点で追い込むべき設定や調整が見えてきます。RAWの最大の特徴はホワイトバランスを現像時に調整できることです。しかし、これがJPEG撮影だと、撮影時にかなり厳密にホワイトバランスを追い込まなければならなくなります。
JPEGは現像済みの完成されたデータですから、その画像をホワイトバランス補正するとなると、多かれ少なかれ画質が劣化するだけでなく、ホワイトバランス調整そのものが難しく、思うような仕上がりにならないこともしばしばです。一方、露出はどうでしょうか?現像時に露出補正ができるのもRAWの魅力の1つですが、撮像素子上で階調のない飛びやつぶれはRAWであっても再現できません。
そのため、露出についてはシビアに考える必要があります。現像ソフトでは±2~4段分ほどの調整が可能ですが、実際に効果的なのは±2段分くらいがいいところでしょう。RAW撮影といえど、撮影時の露出には注意し、ヒストグラムやハイライト・シャドウの警告機能などを利用して、適切な露出を得るように心がけましょう。大事なシーンは段階露出をしておくのも1つの手です。
撮影時の設定はほかに、彩度、色合い、シャープネス、ノイズ処理、モノクロ化などがありますが、いずれもRAWであれば現像ソフトで調整可能な項目ですから、特別に気にする必要はないでしょう。ただ、純正ソフトを使った場合、それらのパラメータが現像ソフトに引き継がれます(もちろん変更可能です)。
現像ソフトで余計な調整を行いたくないなら、カメラ側できちんと設定しておくと良いでしょう。また、カメラによりますが、高感度や長時間露光時のノイズリダクション処理機能を利用するという場合は、現像ソフトでは対応していないので、これは撮影時に行う必要があります。ところで、RAWだといくらでも補正や修正が効くと思われる方がいるかもしれません。
実際、写真の失敗の多数を占めるホワイトバランスや露出を補正できるので、そのようなイメージがつきまといますが、ほぼ完壁に補正できるのはホワイトバランスのみです。露出もある程度補正可能です。しかし、ピンボケやブレは当たり前ですが修正できません。RAWだからと言って、気軽に撮ってもいいというわけではないのです。RAW撮影を失敗の回避目的と考えず、より良い作品づくりの可能性を広げるため、と前向きに考えるべきでしょう。