特定の色だけを調整するにはどうすればいい?
空や海の青色だけ、森の緑だけ、花の黄色や赤色だけ、人物の肌色だけ、そういった特定の色に対して、色合いを変えたり、彩度を変えたりした…。そのような要望はおおいのではないでしょうか?しかし、カメラに付属する現像ソフトでは、そのような機能を持ち合わせた物がありません。
おそらく付属の専用ソフトは、カメラの延長という位置づけのためか、単純な現像を超える、いわゆる画像処理に近いような機能が含まれないことがほとんどです。そこで気になるのはやはり汎用のRAW現像ソフト。SILKYPIX、Lightroom、Digital Darkroomいずれも特定色の色補正が可能です。
ただこれらは補正できる色相の範囲があらかじめ決められており、SILKYPIXとLighroomで8色相、Digital Darkroomで6色相となっています。Lightroomの8色相はレッド、オレンジ、イエロー、グリーン、アクア、ブルー、パープル、マゼンタ。SILKYPIXでは色名が付けられていませんが、Lightroomとほぼ同様の8色です。また、Digital Darkroomの6色相はレッド、イエロー、グリーン、シアン、ブルーマゼンタ。
色相の種類は限定されてはいますが、特定色の補正をしたいという希望をかなえることができるでしょう。この機能では、指定した色相ごとに色味を変更したり、彩度や明度を調整したりできます。また、色相をまたぐような色に対しては、複数の色相を操作することで効果的に補正することができます。ただし、色相の分割が6ないしは8であるために、同じ色の系統に属しながら微妙に異なる色だけを補正したいという場合には、やはりうまくいきません。
不可能と言ってもいいでしょう。たとえば、空と海が写った写真で沈んだ海の色を明るくしようとしたら空まで明るくなってしまったり、ポートレート写真で茶系に染めた髪の毛を補正しようとしたら人物の肌まで一緒に補正されてしまったりと、そのような結果になってしまいます。現在の現像ソフトの限界とも言えます。そのような中で異彩を放つのがニコンのCapture NXです。
ニコン専用の現像ソフトではあるのですが、カラーコントロールポイントという機能を使えば、補正する色相をかなり限定することができますし、また、マスク機能も利用すれば、さらに限定的な色補正を行うことが可能になります。マスクを使いこなすのは難しいという人でも、カラーコントロールポイントだけで非常に簡単に特定色の色補正ができてしまいます。
CaptureNXはほかの汎用現像ソフトと同様、JPEGやTIFFにも対応するのですが、やはりRAWを元にした色補正の品質の高さには及びません。ニコンユーザーがうらやましい限りです。現像段階で特定色の色補正をしたいという要望は多いと思います。専用ソフトでも対応してもらえると活用範囲が広がって、ユーザーの利便性も上がるでしょう。各メーカーには検討していただきたいものです。